投資の中身
投資信託を増やす前に、中身の重なりを見てみよう。
本数よりも、何にいくら投資しているか。
ずずずです。
投資信託を調べていると、気になる商品が増えていきます。ひとつだけより、いくつか持っているほうが安心できそう。そんなふうに考えることもありますよねぇ。
ただ、商品が増えたことと、投資先が広がったことは同じとは限りません。違う名前の商品でも、中で持っている資産が似ていることがあるからです。
今回は「次に何を買うか」ではなく、今見ている商品の中身を一枚に並べる方法を考えます。特定の商品や、株式と債券の割合を勧める記事ではありません。
分散は、商品の箱を数えるだけでは分からない
金融庁は、値動きの異なる複数の資産に分けて投資することで、価格の変動をある程度抑えられると説明しています。一方、株式や投資信託には元本割れのおそれがあります。分散すれば損をしない、という意味ではありません。金融庁「資産形成の基本」(確認:2026年10月21日)
たとえば、同じ指数への連動を目指す投資信託を、別々の運用会社からひとつずつ選んだとします。商品は2本でも、そのことで投資対象の地域や企業が2倍に広がるわけではありません。
別の商品を組み合わせること自体が間違いなのではなく、「なぜ2本にするのか」を説明できるかが大事だと思います。口座を分けて管理したいのか、中身を変えたいのか。その目的を分けておくと、後から整理しやすくなります。
最初の比較は、三つの欄でいい
いきなり全銘柄を調べると大変です。まずは、運用会社が出している交付目論見書や月次資料を開き、次の三つを並べます。
| 見るところ | 書き出す内容 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 主な投資対象 | 株式、債券など。対象地域も一緒に | 商品名の印象だけで決めない |
| 投資の方針 | 連動を目指す指数、対象の範囲など | 同じ指数や同じ地域が重なっていないか |
| 中身の割合 | 資産・地域・主要な組入先の比率 | 資料の日付と、何に対する割合かをそろえる |
目論見書で基本方針を読み、月次資料ではその時点の構成を確かめる。最初は「同じものを違う名前で見ていないかな」と確認するくらいで十分です。資料に載っている主要な組入先だけで、全体が分かったとは考えないようにします。
全体の割合は、持っている金額も含めて考える
ここからは計算を説明するための架空の例です。実在の商品の構成や、筆者の保有状況ではありません。
- Aという商品を6万円分持ち、その中の地域Xの割合が50%
- Bという商品を4万円分持ち、その中の地域Xの割合が100%
資料の定義と基準日が同じで、単純に合算できると仮定すると、地域Xにあたる金額は、Aの3万円とBの4万円を合わせて7万円。全体10万円の70%です。
「半分ずつくらいの印象だったけれど、全体では地域Xが多かった」。こんな気づきがあるかもしれません。50%と100%をそのまま平均した75%ではないところが、少しややこしいですね。
実際の資料は表示の基準や対象範囲が違うこともあるので、数字を足す前に確認が必要です。最初から細かな比率を完成させようとせず、「この地域への重なりが大きそう」と気づくところからでも役に立ちます。
重なりが見つかっても、すぐ売る必要はない
中身が重なっていると分かると、整理しなきゃ、と急ぎたくなるかもしれません。でも、重なりだけでは売買の必要性は決まりません。
意図してその地域を多くしているなら、それは配分の考え方です。反対に、知らないうちに偏っていたなら、まず自分の想定とどこが違うかを書きます。整理のための売却にも、費用や税の取扱いなど別の確認が伴います。
「買う理由が同じ商品を追加し続けていた」と分かれば、次の商品を探す前に立ち止まれる。それだけでも、今回の確認をした意味はありますね。
次に商品を増やす前のチェック
- 新しい商品で、何を変えたいのか一文で書けるか。
- 既存の商品と、投資対象や指数が重なっていないか。
- 商品ごとの比率ではなく、持つ金額を含めた全体で見たか。
- 比較した資料の基準日と割合の定義を確認したか。
- 中身を見た結果と、売買する判断を分けて考えたか。
最後に
たくさん持っていると安心、ひとつに絞れば分かりやすい。どちらの感覚もあると思います。でも、本数だけで答えを出さず、自分が何を持っているかを説明できるほうが、見直しの出発点になります。
今日は新しい商品を探す代わりに、今見ている2本の「投資対象」と「方針」を並べてみる。それくらいの作業からでも、中身は少し見えやすくなるはずです。
出典と確認範囲
- 旧ブログ:株式と債券保有率の再考(ベンジャミン・グレアム氏に学ぶ保有割合)(掲載:2019年4月8日)。記事を書いた事実とテーマだけを参照。旧記事の特定配分・商品推奨・将来の方針は引き継いでいません。
- 金融庁:資産形成の基本。「分散投資」と元本割れリスクの一般的な説明を確認。
- 野村アセットマネジメント:目論見書・運用報告書の見方。交付目論見書に投資対象や方針が記載されることを確認。特定商品の勧誘として参照していません。
- 出典確認:2026年10月21日(UTC)。比較表と計算例・チェック項目は今回作成した説明です。現在の保有資産の推定はしていません。